価格設定を行う際に「価格弾力性」という言葉をよく耳にします。
価格弾力性とは、価格の変化に対して需要がどのように変化するのかを表す数値であり、例えば、価格を10%値上げした後に、需要が10%減少した場合、価格弾力性は1という数値になります。
価格弾力性=需要の変化率(%)/価格の変化率(%)
消費財ビジネスをしていると、この価格弾力性の考え方は非常に重要になってきます。なぜなら、消費者は非常に価格に対して敏感で、消費財購入の大きな決定要素となっている場合が多いからです。
スーパーのトイレットペーパー売り場を想像してみましょう。ポップやチラシに「10%オフ」と書かれているとすぐに必要なくても買っておけばと損はない思う消費者は多いと思います。反対に、値上がりした場合はどうでしょう?価格がまた下がるまで待つ、もしくはそのスーパーよりも低い価格をつけている別のスーパーでトイレットペーパーを買うという判断になります。
このように、価格の上限と消費者の購買行動が密接に連動するようなものを「価格弾力性が高い」と言います。先に述べた価格弾力性の数値で見ると、弾力性の高いものは 「> 1(1より大きい)」になり、反対に価格弾力性の低いものは、「< 1(1より小さい)」になります。
では、保守部品のビジネスにおける「価格弾力性」を考えてみます。保守部品は、お客様が維持している「物」が壊れて初めて必要になるものであるため、価格はお客様の購買行動にはあまり密接に関係しているとはいえません。例えば、車を持っていて、何も問題なく利用できているときに、ファンベルトが安く売っていたとしてもそれを購入する気になるでしょうか?相当なマニアでない限り、買う気にはなりません。
もちろん例外はあります。B-to-Bの保守部品ビジネスでは、価格はB-to-Cのビジネスよりもインパクト大きいかもしれません。例えば、物流会社に対してトラックを販売し、そのトラックの保守部品も販売しているようなビジネスモデルであれば、ゴム製のパーツなどの消耗品をボリュームディスカウントで期間限定で販売すれば、物流会社もいずれ必要になるであろうと試算し、それを機会にストックするという購買行動に出るかもしれません。
ただし、これはあくまでも消耗部品に限った話なのです。その他の部品は陳腐化するリスクがあるため、価格を下げたからと言って売れるわけではありません。
つまり、保守部品ビジネスでは、価格弾力性の考え方を導入すべき領域は非常に限定的であり、殆ど意味がないということになります。
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