アフターマーケット(保守ビジネス、アフターサービス)において、顧客満足度を高める一つの要素として、部品の即納率が上げられます。即納率は、単純に在庫を積み増しすればある一定レベルまで向上させることはできますが、より高いレベルを目指す場合には、在庫の積み増しだけでは解決できない部分も多々あります。また、ビジネスが好調の際には目立たないものの、景気が下降し、製品が売れなくなってくると、資産として計上されている在庫は財務的観点から非常に目立つようになるため、より効率的な部品供給が求められるようになります。

需要予測や補充計画といったいわゆる「計画系」のソリューションは、即納率の向上と同時に、在庫削減を可能にし、非常に魅力的なツールです。特に、グローバルでビジネスを展開されている企業様にとって、海外拠点を含むサプライチェーン全体を最適化することは容易なことではなく、このような局面に対応可能な計画系のソリューションは、非常に有用であることは間違いありません。

しかし、計画系のソリューションを導入するだけで、本当に即納率の向上と在庫削減が実現できるのでしょうか?答えは「ノー」です。実際に計画系ソリューションを導入しても、有効利用ができていない企業様は非常に多くいらっしゃいます。では、何故計画系のソリューションで成果が上がらないのでしょうか?
それは、計画系ソリューションが提案する「計画」に、実行系の仕組みがついていけていないということに大きな理由があります。

従来、グローバルでビジネスを展開されている企業様では、実行系のシステムに大きな投資を行ってきました。各地域に点在する拠点に対して、日本で導入したERPもしくは手組みの基幹システムをテンプレートに、各拠点でのローカルニーズに対応させる形で導入を進め、それぞれの拠点で最適な基幹システムが構築されてきました。

しかし、ビジネスがより多極化、広域化している昨今、拠点毎に最適化されたシステムではビジネスの動きに対応できないという問題が浮上しています。例えば、今までは日本から供給すればよかった状況が、生産拠点が海外に移転することで、供給拠点が複数になり、最適な供給経路を見つける必要が出てきたり、顧客からの厳しいニーズに迅速に対応をするために、これまではそれほど重要視されていなかった拠点間融通を検討せざるを得なくなるというケースも出てきています。

このような状況下では、拠点最適で構築されたシステムは、マルチソース化や拠点間融通を行うためにシステム改修を拠点別に繰り返さなければならず、サプライチェーンがグローバルレベルで変化していくと、その対応はますます複雑化します。そのため、先にあげたグローバルで在庫を最適化する計画系ソリューションを導入しても、計画系システムが提案する拠点間融通であったり他ソースからの供給変更のような推奨が、受け取る側である実行系でうまく捌けず、結果として、計画系ソリューションを有効に活用できないという状況が生まれます。

 

こうした課題を克服するには、大きく2つのアプローチがあります。1つ目は、グローバルで共有する大きなERPを導入することです。このアプローチは、「シングル・インスタンス」と呼ばれ、ERPが流行した2000年代初めにERPベンダーが提唱していたアプローチです。

singleinstance.jpgこれは、グローバルの全てのオペレーションを一つのERPで実行するアプローチで、全ての情報をリアルタイムに共有し、オペレーションを実行できるため、非常に理想的な形といえます。しかし、各拠点で抱えているローカル特有の要件を含め全て一つのERPで実現しなければならず、実際に導入するとなると膨大な労力がかかり、現実的ではありません。「シングル・インスタンス」(右図)も、比較的サイズが小さい会社なら実現できるところもあるかもしれませんが、大きな会社になればなるほど、実現が難しくなり、実際にこれを実現している企業も少ないというのが現状です。

もう1つのアプローチは、各拠点の既存システムは残しつつ、その上に「グローバルレイヤー」を構築し、拠点の基幹システムとは別のレイヤーでグローバルレベルでの処理を実行するという方法です。この場合、既存システムの改修は比較的小規模に抑えることができ、また、ERPとは異なるため、グローバルレベルで実装するプロセスも、それぞれのニーズに合わせて構築が出来ます。しかし、このアプローチ方法にはグローバルレイヤーで実現すべきプロセスとは何なのかが分からないと実装できないという難しさがあります。ERPはある程度TO-BEプロセスがシステムに組み込んであるため、それをベースに導入することができますが、このグローバルレイヤーのアプローチの場合、TO-BEプロセスをしっかり定義しなければうまく導入ができないばかりか、将来、ビジネスが変化した場合に対応するためのフレキシビリティも同時に実現する必要があることから、これをうまく設計できないとプロジェクトは破綻してしまいます。 globalorderprocessing.jpg

シンクロンは、この「グローバルレイヤー」のアプローチを実現する最適なソリューションを提供しています。このソリューションは、既存システムに容易に接続するためのインテグレーションフレームワークやサプライチェーンを実行するためのデータモデルおよびロジックを備えており、ニーズに合致したプロセスをSOA(Service Oriented Architecture)をベースに構築します。グローバルでの拠点間融通を行うための多段階引当のロジックや、部品の互換性情報を加味した部品検索および引当ロジック、受注価格や購入価格を算出するためのロジック等、サプライチェーンを実現するために必要な事前定義済みコンポーネントが用意されているため、コンポーネント同士を組み合わせることでグローバルレベルのサプライチェーンプロセスを構築することができます。

また、各地域で最適化された基幹システムは、グローバルプロセスを実現するためのマスターシステムとなり、そこから必要な情報を適宜吸い上げて、グローバルプロセスの実行に利用します。グローバルレイヤーで実行された内容は、各基幹システムにフィードバックされ、また基幹システム側で実行された内容は、またグローバルレイヤーに戻され、お客様やサプライヤーといった外部組織ともうまく情報共有をすることができるようになります。また、計画系のシステムとも密に連携を行うことで、計画系で計画した内容を、そのまま実行に繋げることができるようになります。

例えば、在庫情報は、各拠点の基幹システムでマスター管理されていますが、グローバルレイヤーで引当を実行する場合、どこにどれだけ引当有効な在庫が存在するのかを把握し、在庫の引当と納期回答を行うと同時に、その引当拠点の基幹システムに対して引当結果も含めたオーダーの情報を配布します。基幹システム側では、実際に物が出荷されるまでの過程を管理し、その過程(ステータス)の情報をグローバルレイヤーに提供することで、お客様に対して正確なオーダーの進捗情報も公開することができるようになります。

このように、グローバルレイヤーで行うべき処理と基幹システム側の処理を切り分けて考えることで、既存のシステムの制約にとらわれることなく、且つ既存システムの改修を最小限に抑えた形で利用とするグローバルプロセスを実現することができます。

現状の保守部品のサプライチェーンにお悩みであれば、ぜひERPと同時に、「グローバルレイヤー」を考慮した受発注管理を検討してみてはいかがでしょうか?

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